所得控除が受けられる生命保険料控除の基礎知識と計算方法を解説!

所得控除は全部で14種類から構成されています。

人それぞれ控除を受けられるものが違います。

今回は大体の人が控除を受けられる生命保険料控除について基礎知識と計算方法を解説します。

会社員の方は生命保険料控除について普段の生活であんまり意識しないですよね。

でも年末近くになると年末調整の書類が配られますよね。

書類が配られたときにこんな悩みはないですか?

年末調整の書類での悩み
  • あーまたコレ面倒くさいなぁ…
  • 書き方覚えてないしわからないよ
  • 毎年変わらないよ
  • 去年コピー取っておけばよかったな
  • 保険入ってないからかくことないんだよな

こんな悩みに答えます。

筆者は日本FP協会認定のAFPとして仕事をしています。

記事の内容は下記のとおりです。

記事の内容
  • 生命保険料控除の基礎知識と計算方法
  • 保険商品の基礎知識
  • 区分の整理は良いことしかない!
  • 保険料控除額の計算
  • 生命保険料控除申告書記入の方法

 

生命保険料控除の基礎知識と計算方法

生命保険料控除とは

繰返しになりますが生命保険料控除は所得控除の一種類です。

所得控除について簡単に説明します。

所得税の計算するときに「課税しないもの」とされているものが所得控除です。

支払った生命保険料の中で課税されない部分。

これが生命保険料控除です。

生命保険料控除の対象

生命保険料控除は3つの区分に分けることができます。

生命保険料控除の種類
  • 一般の生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料

保険商品の基礎知識

一般の生命保険料

生きていることや死亡したことによって保険金が支払われる保険のことです。

保険の種類はある程度聞いたことがあるはずです。

一般の生命保険
  • 定期保険
  • 終身保険
  • 養老保険

定期保険

定期保険は一言で説明すると死亡保険です。

保険の対象者が何らかの原因で死亡すれば1,000万円が配偶者や家族に保険金が支払われます。

保険期間には期限が設定されています。

例えば30年間とかです。

一般的に「掛け捨て」と呼ばれていますね。

終身保険

終身保険は保障が一生涯続く保険です。

死ぬまで保険契約が続き死亡したら保険金が支払われます。

終身も当然死亡したら保険金が支払われます。

ただし定期と大きく違う点は終身保険には貯蓄性がある保険となります。

つまり何十年と保険料を支払っているうちに一定の地点を越えると払い込んだ保険料よりも解約したときに戻ってくるお金(解約返戻金)が上回って利益が出るような保険です。

生命保険が投資商品と言われている理由です。

保険をかけると保障はもちろんですが同時に資産運用になります。

養老保険

養老保険は貯蓄性がある保険の代表です。

養老保険も死亡すれば死亡保険金が支払われます。

ここまでは終身と変わりません。

しかし終身と違う点は死亡しなくても保険金と同額が支払われます。

終身は生きている間にお金が必要であれば解約が必要です。

養老保険の場合は満期が設定されているので満期を迎えると金額が支払われます。

つまり積み立の預金をしているような感覚です。

ただし満期を迎えると死亡保険金と同額が戻ってくるので保険料が高いです。

以上3点の保険に加入していれば一般の生命保険料のカテゴリーに含まれます。

介護医療保険

病気などで入院や通院することによって保険金が支払われる保険です。

日常的に使う可能性の高い保険です。

介護医療保険
  • 医療保険
  • がん保険
  • 介護保障保険

医療保険

医療保険は一般的な保険です。

知らない人はあまりいないですよね。

保障内容は下記のとおりです。

医療保険の保険金支払いケース
  • 病気やケガの入院や通院
  • 所定の手術を受けたとき
  • 先進医療を利用したとき

三大疾病や7大疾病で入院日額1万円とか広告で見聞きしますよね。

それが医療保険です。

がん保険

医療保険に三大疾病としてがんは含まれています。

しかしがん保険はがんに特化した保険です。

がん保険はがんと診断されると一時金が支払われます。

保険会社によっては入院すればさらに一時金という商品もあります。

介護保障保険

介護保障保険は50歳以上であったり65歳以上で加入できる保険となります。

認知症や寝たきりなど介護が必要となったときに一時金が支払われる保険です。

50歳以上のように加入年齢が低い商品には医療保険も付帯されている保険会社もあります。

上記のような保険に加入していれば介護医療保険料のカテゴリーに含まれます。

 

個人年金保険料

個人年金保険料税制適格特約の付加された個人年金保険契約。

はっきり言って意味わからないですよね…。

個人年金保険料税制適格特約について説明します。

個人年金保険料税制適格特約
  • 年金受取人が契約者または配偶者
  • 年金受取人が被保険者と同一であること
  • 保険料の払込期間が10年以上
  • 確定年金・有期年金は年金開始年齢が60歳以上で受取期間が10年以上

上記の条件を個人年金保険料税制適格特約と呼びます。

そして条件をクリアした個人年金であれば個人年金保険料のカテゴリーに含まれます。

区分の整理は良いことしかない!

3つの区分を整理する

3つの区分内の保険商品をそれぞれ説明しました。

自分の加入している保険がどの区分に該当するのか少し理解できたのではないでしょうか。

区分だけでも理解できれば年末調整の書類はわざわざ説明書きを見なくても書けます。

もし「この区分はどれだ?」と迷ったとしても大丈夫です。

保険契約をすると10月~11月頃になると保険料控除証明書という書類が送られてきます。

その書類には大体「介護・医療」や「個人年金」など記載があります。

書類の提出期間よりも前に証明書は郵送されるので確認してからの記入でも全く問題ないです。

整理すると自分の保険が見直せる

毎年必ず訪れる書類記載作業なので区分を整理していれば保険の見直しが可能です。

自分の環境の変化によって保険は見直しが大切です。

独身と家族がある家庭では保険の内容も変わってきます。

せっかく毎年訪れる機会です。
年に一回保険を見直すきっかけに使えばムダな保険料を払わなくて済むかもしれません。

そう思えば「面倒で嫌だな」という気持ちも若干軽減するのではないでしょうか?

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保険料控除額の計算

各控除額の計算

先ほど説明した3つの区分をそれぞれ支払った保険料で計算していきます。

以下の表を使うと簡単に計算が出来ます。

新契約(H24年1月1日以後に締結した契約等)に基づく場合の控除額

旧契約(H23年12月31日以前に締結した契約等)に基づく場合の控除額

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp

「生命保険料控除額の金額 新契約・旧契約」(国税庁)筆者作成(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm)

旧契約も念のため載せてあります。

最近保険契約した方は新契約を使います。

契約した時期によっては旧契約と新契約が混在している方もいます。

新契約と旧契約の控除額の違い

新契約と旧契約で控除額に違う点は下記のとおりです。

旧契約の控除額

  • 一般の生命保険料 所得税 最高50,000円 住民税 最高35,000円
  • 個人年金保険料  所得税 最高50,000円 住民税 最高35,000円
  • 介護医療保険料  なし

新契約の控除額

新契約
  • 一般の生命保険料 所得税 最高40,000円 住民税 最高28,000円
  • 個人年金保険料  所得税 最高40,000円 住民税 最高28,000円
  • 介護医療保険料  所得税 最高40,000円 住民税 最高28,000円

参考として住民税の控除も記載しています。

パッと見比べただけでも大きく違う点がわかりますよね。

介護医療保険料の控除は新契約のみです。

旧契約は一般の生命保険料と個人年金の控除だけですが最高金額が高いです。

新契約は介護が含まれた控除になり最高金額は低くなりました。

合計では最高12万円の所得税控除が受けられるので新契約が控除額は大きくなります。

計算シミュレーション

事例を設定して数字を使って計算してみます。

保険料事例
  • 一般の生命保険料 月払い 終身保険 8,000円 定期保険 4,500円
  • 介護医療保険料  月払い 医療保険 3,200円 がん保険 1,800円
  • 個人年金保険料  年払い 個人年金 360,000円
計算シミュレーション
一般の生命保険料
終身保険 8,000円×12=96,000円
定期保険 4,500円×12=54,000円
96,000円+54,000円=150,000円
150,000>80,000円  40,000円
介護医療保険料
医療保険 3,200円×12=38,400円
がん保険 1,800円×12=21,600円
38,400円+21,600円=60,000円
60,000円×1/4+20,000円=35,000円
個人年金保険料
個人年金 360,000円>80,000円  40,000円

一般の生命保険料は40,000円・介護医療保険は35,000円・個人年金は40,000円

合計で115,000円が生命保険料控除となります。

合計が80,000円を超えたものは全て40,000円になります。

正直計算しなくてもわかります。

生命保険料控除申告書記入の方法

記入の方法

11月~12月頃に下図のような保険料控除の申告書が会社から配られます。

この用紙に先ほど計算したように金額を記入します。

最後に保険会社から送付された控除証明書を添付すれば完了です。

生命保険料控除は左半分を記入するだけです。

右半分は地震保険料控除と社会保険料控除で使用します。

実は下に計算式が書いてあるんですよね。

大体の方がこれを見て計算するはずです。

でも知っていれば一瞬で終わるので知っておいて損はないですよ!

まずは3つの区分に共通する部分を記入します。

下記の内容が共通で記入の必要です。

3区分共通する記入事項
  • 保険会社などの名称
  • 保険の種類
  • 保険期間または年金支払期間
  • 保険などの契約者指名
  • 保険金の受取人の指名と続柄

保険の種類と保険期間を忘れた場合は控除証明書に確認してください。

記載されていることが多いです。

次は金額の記入です。

参考に上記図の記入部分を抜粋しています。

一般の保険と個人年金には新・旧を選ぶ箇所があります。

新契約か旧契約または混在なのか間違えないように丸をつけます。

(a)と書かれている図の赤枠の部分に計算した金額を記入します。

終身保険の96,000円を記入します。

(a)の合計を一般保険料の左下の青枠の部分に合計金額に記入します。

旧契約の場合は緑枠の部分です。

合計金額を記入し黄色枠の部分で計算をします。

新契約は80,000円を超えた場合は上限の40,000円です。

旧契約では100,000円を超えると上限の50,000円です。

さらに右に移動すると小計①と②の合計を③オレンジ色枠の部分に記入します。

②が上限の50,000円だった場合にピンク色枠の部分に50,000円と記入します。

この要領で介護と個人年金も記入していきます。

介護保険と個人年金の記入場所は下記に参考の図を添付しています。

記入方法に不安があれば参考にしてください。

個人年金には年金の支払い開始日という記入場所があります。

事前に満期がいつなのか。
いつから年金が支払われるかを確認しておくと便利です。

毎年必ず行う作業です

生命保険料控除の申告書は保険に加入していれば毎年必ず記入します。

控除できなかったら損するだけです。

ちゃんと記入して提出するようにしてください。

毎年書くことが面倒だったり書く内容を忘れてしまう心配があればコピーをおすすめします。

保険内容に変更がなければコピーどおりに記入すれば問題ないはずです。

生命保険控除の基礎知識と計算方法 まとめ

最後に生命保険控除についてまとめておきます。

生命保険控除まとめ
  • 生命保険料控除は3つの区分に分けられる
  • 一般の生命保険は定期保険・終身保険・養老保険
  • 介護医療保険は医療保険・がん保険・介護保障保険
  • 個人年金保険料

こうやって書いてみるとココに書いた保険は最も一般的なものに過ぎません。

みなさんの契約している保険が記載されているないように該当していないこともあります。

ですが基本的には3つの区分は変わりません。

生命保険控除が受けられる保険は控除証明書が必ず送付されます。

控除証明書の中身を確認して該当する区分に記入すれば問題ないです。

ここまで何かしらの保険に加入している前提で説明をしてきました。

でも保険加入を一切していない人もいるはずです。

毎年記入項目が会社の住所と自分の名前と住所しかないのは楽で良いです。
しかし万が一の備えは少なからずあった方が安心です。

医療保険やがん保険は若い内に加入すれば保険料も安いのでお得です。

余裕があれば保険加入の検討をしてみるのはいかかでしょうか。

この記事が保険料控除申告書が配られて毎年面倒と感じている人や書き方を忘れてしまった人の参考に少しでもなれたら幸いです。

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ABOUTこの記事をかいた人

サラリーマン時代から資格の勉強を始めてサラリーマンを辞めて行政書士・日本FP協会認定AFP・投資診断士をやっています!投資・人生設計・資格・子育て中の30代男性のライフスタイルの情報を発信しています。