相続って急に起こりますよね。
でも、相続に直面することは人生で何回もあることではないですよね。
急に相続が発生すると焦りますよね。
「どうしよう!?」ってなったときにこんな悩みはありませんか?
- 誰に相談したらいいの?
- 相続すると税金があったよね?
- 税金っていくら払うのかな?
- そもそもどれくらい資産あるの?
このような悩みに答えます。
筆者は行政書士・日本FP協会認定のAFPとして仕事をしています。
相続の相談を受けることも少なくありません。
記事の内容は下記のとおりです。
- 相続税の基礎知識と計算方法をわかりやすく解説
- 相続税の基礎知識
- 相続税の基礎控除
- 各相続人が取得した財産価額の計算
- 実際に金額を入れての相続税計算
目次
相続税の基礎知識と計算方法をわかりやすく解説

誰に相談するべき?
急に相続が起こると誰に相談するべきか迷いますよね。
一般的には法律業務に携わる士業やファイナンシャルプランナーに相談が望ましいです。
士業は主に弁護士、税理士、司法書士、行政書士などです。
特に決まった相談相手がいなければ各自治体の役所に出張で無料相談ができたりします。
最初の相談にはおすすめですよ!
ただし注意点があります。
士業の対応業務
各士業の対応分野は下記のようになっています。
- 基本的にオールマイティで士業の仕事ができる
- 相続財産目録(申告とセットなら)
- 遺産分割協議書作成(申告とセットなら)
- 相続税申告
- 相続関係図
- 財産目録
- 戸籍・除籍謄本及び住民票の取寄せ
- 遺産分割協議書作成
- 不動産名義変更
- 相続放棄
- 株式・預貯金解約名義変更
- 遺言の検認申立て
- 相続関係図作成
- 相続財産目録作成
- 戸籍・除籍謄本及び住民票の取寄せ
- 遺産分割協議書作成
- 自動車の名義変更
相続税の基礎知識

相続税とは?
相続税を簡単に説明すると亡くなった人の財産を相続した人が支払う税金です。
つまり相続を受けることが出来る人以外は税金は課されません。
- 配偶者
- 子
- 親や祖父母
- 兄弟姉妹
上記以外の人が財産を引継ぐと遺贈となります。
まぁ遺贈の場合は贈与税がかかるので結局税金は払うんですけどね…。
相続財産の全額に税金が課されるわけではない
相続を受けると税金はかかります。
ただし相続財産全額に税金はかかりません。
相続税には色々な控除があります。
そして一番最初に差し引くことができる控除が基礎控除です。
この控除は相続人全員が受けることが出来ます。
相続税の基礎控除

基礎控除とは
基礎控除の計算
3,000万円+(法定相続人の数×600万円)
3,000万円+(4人×600万円)=5,400万円となります。
5,400万円を被相続人の財産総額から差し引くことができます。
差し引かれた金額が課税価格です。
当然ですが人数が減れば基礎控除額は減ります。
人数が多ければ基礎控除額は増加します。
相続人が1人でも3,600万円が被相続人の財産総額から引かれます。
つまり3,600万円以上相続財産がなければ相続税はかからないんです!
相続税の計算
相続を受けると必ず控除できる基礎控除を説明しました。
ここから先は相続税額を求める計算に入っていきます。
各相続人が納付すべき相続税額を計算するには3つのステップが必要です。
各相続人が取得した財産の価額の計算

STEP1
STEP1は各相続人がいくら支払うかを計算します。
相続・遺贈財産+みなし相続・遺贈財産-非課税財産-債務控除+生前贈与財産の加算
=それぞれの相続税の課税価格
STEP1の用語について説明します。
相続・遺贈財産
相続や遺贈でもらった財産の額です。
みなし相続・遺贈財産
- 生命保険金
- 退職手当金
- 弔慰金(限度額を超えたもの)
- 遺贈により取得したもの
細かいものはまだあります。
非課税財産
- 墓地、墓石、仏壇、仏具など
- 弔慰金・葬式の花輪代(業務上死亡の場合普通給与3年分、それ以外は普通給与の半分)
- 生命保険の非課税枠(500万×法定相続人の数)
- 退職手当金の非課税枠(500万×法定相続人の数)
- 公共事業用財産(公益事業を行う者が相続・遺贈により取得し公共事業に利用する財産)
- 心身障害者扶養共済制度の給付金を受ける権利
- 国などに寄付した財産
- 公益法人などに寄付のための支出
- 皇位とともに皇嗣が受ける財産
債務控除
- 借入金
- 賃貸住宅の預かり敷金
- 医療費の未払い分
- 所得税、消費税、住民税、固定資産税
- 公共料金の未払い分
- その他未払い金
生前贈与財産の加算額
相続開始前3年以内に受けた贈与です。
つまり亡くなる3年以内に贈与を受けたときは贈与分を加算することになります。
上記の内容を計算式に沿って計算すると各相続人の課税価格となります。
STEP2
STEP2はみんなでいくら払うのかを計算します。
「みんなでいくら払うのか」が相続税の総額です。
では取得金額の計算方法を説明します。
取得金額を求めるには2回の計算が必要で下記のとおりです。
STEP1の合計額-基礎控除=課税資産総額
課税資産総額×法定相続人の数に応じた相続人の法定相続分・代襲相続分=取得金額
STEP2の用語も解説します。
課税資産総額
基礎控除を引いた後の実際に課税される金額です。
法定相続人の数に応じた法定相続分・代襲相続分
法定相続人には下記のような人も含まれます。
- 相続放棄した人も法定相続人の数としてカウント
- 養子は自分の子どもがいる場合には1人まで・いない場合は2人までカウント
相続放棄した人は財産は相続してないですよね。
でも税金を計算するときは頭数に入れて構わないことになるんです。
養子がいる場合にも計算上で頭数の人数に決まりがあります。
ここで違和感を感じた人は凄いです!
おそらく民法に詳しい方です。
普通の人は気付きません。
民法と相続税では養子の定義が違います。
民法は養子の数に制限はありません。
相続税では1人または2人です。
まぁ何で定義が違うかは実に単純です。
都合が悪いから。
養子をたくさん認めると頭数が増えます。
税金の控除額が大きくなって税金が取れなくなってしまうからです。
ただし例外があります。
養子でも実子として取り扱われるケースもあるので紹介しておきます。
特別養子
配偶者の実子が被相続人の養子
代襲相続人が被相続人の養子
かなり珍しいケースですが実子として取り扱われます。
簡単に補足しておくと下記のような場合です。
特別養子
実親子関係が解消済みの養子
配偶者の実子で被相続人の養子
配偶者の連れ子
代襲相続人が被相続人の養子
孫養子



STEP2では各相続人が実際にいくら貰ったかは気にしません。
全体でいくらか払うのかを機械的に法定相続分で分けていきます。
分けた各取得金額に税率をかけると相続税の合計額がでます。
STEP3
最後はSTEP3です。
STEP3はいよいよ各相続人が個々でいくら貰ったのか。
またいくら支払うのかを計算します。
算出税額+相続税加算-税額控除=それぞれの納付額
また訳のわからない用語が出てきましたよね。
STEP3も用語の説明をします。
按分割合
按分割合は実際に貰った割合です。
つまり配偶者と子ども2人では法定相続分でも割合が1/2と1/4で違がってきます。
さらに法定相続分以上の金額を貰っている可能性もあります。
ですから実際に貰った割合での計算が必要です。
相続税加算
相続税加算は主に兄弟姉妹や代襲相続人でない孫養子が該当します。
配偶者と1親等の血族(代襲相続人を含む子、父母)以外は2割加算の対象です。
代襲相続人でない孫養子についても図解をしておきます。

税額控除
税額控除には複数種類があります。
各相続人が該当するものを適用します。
- 贈与税額控除
- 配偶者の税額軽減
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 相次相続控除
- 外国税額控除
順番に説明します。
贈与税額控除
相続開始前3年以内に贈与を受けて贈与税を支払った場合に控除が受けられます。
贈与税額を相続税から控除されます。
配偶者の税額軽減
配偶者しか使えない特権のような控除です。
配偶者は税額が軽減されます。
内容は下記のとおりです。
- ①課税価格の合計額×配偶者の法定相続分(1億6,000万円未満は1億6,000万円で計算)
- ②配偶者の相続税の課税価格
- 相続税額×①と②のどちらか小さい額/課税価格の合計=配偶者の税額軽減
残された配偶者の生活支援という面で優しい制度ですよね。
未成年者控除
相続人が未成年者である場合に控除が受けられます。
控除額の計算は下記のとおりです。
- (20歳-相続開始時の年齢)×10万円=未成年者控除
(20-18)×10で20万円の控除となります。
障害者控除
相続人が障害者の場合に控除が受けられます。
控除額の計算は下記のとおりです。
- (85歳-相続開始時の年齢)×10万円=障害者控除
相次相続控除
10年以内に2回以上相続があった場合に控除が受けられます。
外国税額控除
被相続人の財産が外国にある必要があります。
国外ですでに課税されている場合は二重課税を防ぐ目的で控除が受けられます。
適用できる控除を最後に差し引くと各相続人の納付額が算出できます。
実際に金額を入れての相続税計算

文章で説明してもイマイチわかりにくいですよね。
事例を作ったので実際に数字を入れて計算してみます。
事例
- 配偶者(妻)相続財産 土地5,000万円 建物3,000万円 現金2,000万円 借入金500万円
- 子(A) 相続財産 現金1,000万円 生命保険2,000万円
- 子(B) 相続財産 建物1,500万円 現金500万円
実践編 STEP1
5,000万円+3,000万円+2,000万円=1億円
1億円-【債務控除】借入金500万円=9,500万円
子(A)の相続財産
1,000万円+【みなし相続財産】生命保険2,000万円=3,000万円
【生命保険の非課税枠】500万円×法定相続人3人=1,500万円
3,000万円-1,500万円=1,500万円
子(B)の相続財産
1,500万円+500万円=2,000万円
実践編 STEP2
13,000万円-4,800万円(基礎控除3,000万円+法定相続人3人×600万円)=8,200万円
13,000万円-8,200万円=【課税遺産総額】4,800万円
4,800万円×配偶者1/2 子(A)1/4 子(B)1/4=妻2,400万円 子(A)1,200万円 子(B)1200万円妻2,400万円×【税率※速算表参照】15%-50万円=1,990万円
子(A)子(B)1,200万円×【税率】15%-50万円=970万円
1,990万円+970万円+970万円=【相続税総額】3,930万円
税率速算表です。

実践編 STEP3
子(A)3,930万円×1,500万円/9,500万円+1,500万円+2,000万円=471.6万円
子(B)3,930万円×2,000万円/9,500万円+1,500万円+2,000万円=589.5万円
【相続税加算】なし
【税額控除】配偶者控除のみ該当
3,930万円×9,500万円/9,500万円+1,500万円+2,000万円=2,868.9万円
妻2,868.9万円-2,868.9万円=0円
子(A)471.6万円
子(B)589.5万円
これがSTEP1~STEP3までの計算の流れです。
事例は簡単な内容です。
計算が多くないようにしています。
実際は非課税枠が多かったり債務控除も多く計算も複雑になります。
相続税の基礎知識と計算方法 まとめ

最後に相続税についてまとめておきます。
- 相談は士業やFPにする
- 役所の無料相談を利用するのもあり
- 士業は出来る分野が変わってくる
- 相続税の計算は税理士が専門
- 各税額算出はSTEP1~STEP3の計算が必要
今回の計算は概算です。
実際に相続が起こった場合は税理士や弁護士にお任せをしてください。
計算については司法書士・行政書士・FPも出来ません。
税理士の専門分野になります。
ただし相続税の仕組みや計算方法を知っておくことは重要です。
なにも知らずに税金だけ払うのって損した気分になりますよね。
しっかりと計算されて算出された金額と理解するだけで気持ちも違うはずです。
相続が発生する時期は決まっていません。
起こるときは急に来ます。
そんなとき「どうしよう!?」と悩んだりしそうな方の参考に少しでもなれば幸いです。
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